医院開業コラム

お金は沢山あるが、相続税でもっていかれそうだ。どうしたらいいだろうか

【ライター】湯沢会計事務所 代表税理士 湯沢勝信
ドクターにとっての第2の人生と言える「開業」が、先生にとっても、先生のご家族にとっても、また地域の住民にとっても意義深いものとなっていくことを祈念いたします。
そしてこのコラムが、少しでもお役に立てれば幸いです。
個人が毎年稼いだ所得に対しては、所得税や住民税が課税され、その課税後のお金の中から毎年個人財産が蓄積されていきます。個人が一生かけて蓄積した財産に対して死んだときにさらに課税を行うのが相続税という税金です。そのように考えると、相続税は課税した所得にもう一回課税しているわけなので二重課税ではないかともいえます。
平成27年日本では相続税の仕組みが変わりました。相続財産から控除してくれる基礎控除額が従前の6割に縮小されたために大幅に相続税の課税対象者が増えることになったのです。特に開業医のように毎年の所得が高い人たちに対する影響は大きいと言えます。
最近になってマスコミもこの相続税増税の問題を盛んに取り上げているため、相続税の増税に対する対策ということが注目されています。相続税を少なくする方法すなわち相続税の節税対策にはいくつかの方法があります。
開業医であれば個人医院を医療法人化することにより医療法人の通帳にお金を貯めるようにしていけば現在設立できる医療法人には出資持分がありませんので、医療法人内に蓄積されたお金に対しては、相続税はかかりません。すなわち医療法人化は、個人開業医の毎年の所得税住民税の節税対策になるのと同時に相続税の節税対策にもなるということです。
開業医の相続税対策としてもう一つの有効な方法は贈与です。贈与税というのは相続税法の中に定められているものなのですが、相続税よりも安い税率を選択して毎年定期的に後継者に贈与を行っていけば相続の時にいきなり高い税率で課税される場合と比較して大幅に低い税負担で財産の移転を行うことも可能です。できれば50代くらいから少しずつ後継者に財産を移転していくと効果は大きいと思います。



2017-09/05