医院開業コラム

従業員を辞めさせたら不当解雇だと言われた。どうしたらいいのか

【ライター】湯沢会計事務所 代表税理士 湯沢勝信
ドクターにとっての第2の人生と言える「開業」が、先生にとっても、先生のご家族にとっても、また地域の住民にとっても意義深いものとなっていくことを祈念いたします。
そしてこのコラムが、少しでもお役に立てれば幸いです。
従業員は、雇ってみないとその人の本当の人間性や、仕事ができるかどうか、その仕事に向いているかどうかということはわかりません。また、一人著しく協調性がないスタッフがいると他のスタッフに対する影響が大きくその医院全体の雰囲気が悪くなってしまします。
こうしたスタッフはできるだけ早く辞めてもらった方が医院のためにいい場合もあります。そんな時安易に問題スッタフを辞めさせると不当解雇だと言われ後で大変な問題になる場合も昨今では珍しくありません。
従業員を雇用した場合、たいていの医院で試用期間といって、正式採用する前のお試しの期間を設けています。この期間を3ケ月程度としている医院が多いのですが、労働基準法上は2週間と定められています。2週間を過ぎた後は、無条件に解雇できるのではなくきちんとした解雇理由が必要になります。また労働基準法では、従業員を解雇する場合には、30日前に通告するか30日分の解雇予告手当を支給することになっています。では30日前に通告するか解雇予告手当を支払えば無条件に解雇ができるのかといえば、答えはノーです。この場合にも解雇する場合にはきちんとした解雇理由が必要です。
従業員が不当解雇だと言ってきた場合従業員は医院に対して次のような対応を取ってきます。
1.労働基準監督署に不服申し立て
2.地域のユニオンに申し立て
3.弁護士に相談
4.親族、友人に相談 
そしてその後それぞれの組織や人から医院に対し不当解雇である旨の通知があり、院長として対応にあたらなければならなくなります。対応方法はそれぞれの相手によって異なりますが、医院が不当解雇を認めた場合、従業員が退職を認めるまでの賃金と和解金を支払って示談で解決するケースが多いです。
最終的にはお金で解決することになるのですが、院長としては慣れない交渉により精神的に大変疲れることになります。このような事態を避ける一番いい方法は、まず新規採用の従業員については、解雇理由が必要ない2週間以内に判断することです。
次に2週間を経過した従業員に対しては、解雇するのではなく粘り強く説得して自主退職を促すことです。
また就業規則をきちんと整備して解雇のルールを明確にし、従業員に問題があった場合にはその都度始末書を書かせて証拠が残るようにしておくことも有効です。



2017-09/07