医院開業コラム

勤務先から連れてきた従業員からいろいろ要求されて困っている

【ライター】湯沢会計事務所 代表税理士 湯沢勝信
ドクターにとっての第2の人生と言える「開業」が、先生にとっても、先生のご家族にとっても、また地域の住民にとっても意義深いものとなっていくことを祈念いたします。
そしてこのコラムが、少しでもお役に立てれば幸いです。
勤務先で一緒に働いていた看護師や事務員を開業時に連れてきて、雇用するということはよくあります。一緒に仕事をしていた仲間ですので、気心が知れていますし、募集の手間もかからないので、開業するドクターにとって都合がいいからです。こうしたスタッフを雇用する場合には注意しなければならないことがあります。
勤務先のスタッフを連れてきた場合、給与を決める際も、前の職場と同じくらい支払うくらいしか決めないで雇用している先生もいます。この程度の取りきめしかしていないと、連れてきたスタッフの方は、クリニックの利益が出るようになったら先生は前の勤務先以上の待遇を与えてくれるだろうと期待してしまいます。そして実際に患者数が、増えてくると先生にいいやすいので、たとえば「もっと給料を上げてほしい」とか、「もっと休みがほしい」「早上がりさせてほしい」「忙しいのでもっと人を増やしてほしい」等々いろいろな要求をしてくるようになります。特に病院で働いていた看護師や事務員は一般の会社の従業員とくらべて権利意識が高く、労働基準法等の法律にも明るいです。
こうした要求に頭を悩ませることがないように、雇用に際して、就業規則を作成するとか、雇用契約書をきちんと作成して雇用のルールを決めておく必要があります。
また、開業後は、今までの同僚=横のつながりではなく院長=経営者と従業員という縦の関係になるのだということを自分でもしっかりと自覚し、従業員に対しても経営者としてふるまうことが大事です。



2017-11-24