医院開業コラム

親にお金を出してもらってもいいのか

【ライター】湯沢会計事務所 代表税理士 湯沢勝信
ドクターにとっての第2の人生と言える「開業」が、先生にとっても、先生のご家族にとっても、また地域の住民にとっても意義深いものとなっていくことを祈念いたします。そしてこのコラムが、少しでもお役に立てれば幸いです。
開業資金の調達方法としてよく質問を受けるのが親からの資金援助です。
親から資金援助を受ける場合そのお金を将来親に返済しなければいけないのかそれとも返済の必要がないのかによって処理の仕方が変わってきます。
返済しなければならい場合にはそのお金は、親からの借入金ということになります。借入金の場合には親との間に金銭消費貸借契約書を作成し、借り入元金とともに金利(定期預金程度の低利率で可)を親に対して支払っていかなければなりません。あるとき払いの催促なしというような状態だと贈与とみなされ多額の贈与税が課税されてしまう可能性があります。それに対して返済の必要がない場合にはこれはお金をもらった時点で親からの贈与になりますので、そのお金をもらった年の翌年に贈与税の申告と贈与税の支払いが必要になります。贈与税は贈与金額が大きくなればなるほど高い税率で課税が行われますので、まとまった金額の贈与を受ける場合には、「相続時精算課税制度」を利用する場合がほとんどです。
「相続時精算課税制度」とは親からもらったお金に対して2500万円までは贈与税が非課税で2500万円を超えた金額に対しては20%の税率で計算した贈与税を支払えばいいということになっています。ただし、相続時精算課税制度を選択した場合には将来相続がおこった際には、親の相続財産に生前の贈与分を加算して相続税を計算し、生前に支払った贈与税を控除することになっています。この制度を利用する場合にも贈与年の翌年に確定申告が必要です 。


2017-06-08