医院開業コラム

事業計画書はどうやって作ればいいのか

【ライター】湯沢会計事務所 代表税理士 湯沢勝信
ドクターにとっての第2の人生と言える「開業」が、先生にとっても、先生のご家族にとっても、また地域の住民にとっても意義深いものとなっていくことを祈念いたします。そしてこのコラムが、少しでもお役に立てれば幸いです。

医院開業の成功確率

医院開業の成功率はどのくらいかという質問を受けることがあります。そのような質問を受けた場合「正確な診療調査を行い、実現性のある事業計画をたて、余裕を持った資金調達を行えば、ほぼ100%成功します」と回答しています。これが一般の事業の場合には成功といえるレベルに達するのは20%にも満たないといわれています。それだけ医院開業は統計的に見ると成功確率の高いビジネスといえます。

事業計画書作成の必要性

ただしいくら成功確率が高い医院開業といえどもビジネスのひとつであることに変わりはありません。競合医院が多い場所で、きちんとした戦略も立てず、十分な運転資金を用意しないで開業したことによりうまく立ち上がらず結果的に閉院に追い込まれた先生もいます。医院開業が非常に多くなってきている昨今こうした事例も増えつつあります。
このような結果にならないために必要なのがしっかりとした「事業計画書」の作成です。
「事業計画書」とは、どのように資金調達をして、なににいくらの投資を行って設備を整え、どういう方法で集客して収入を得て、なににいくらの経費を使って利益を上げるのかを具体的に示したいわば事業の設計図のようなものです。
この事業計画書をしっかりと作成することにより、過剰な設備投資を避け、十分な運資金を確保することにより事業を成功へと導くことができるのです。

事業計画書の具体的な作成方法

1.経営理念
開業する主な目的や、開業によって実現したい考え方を示します
たとえば、「地域に根差した子供からお年寄りまで診る総合家庭医として地域医療に貢献します」のように書きます。

2.経営戦略
経営理念を実現するための具体的な戦略を書きます。
たとえば地域の総合家庭医となるために次のようなことを行います。

(1)患者の年齢層に合わせた診療時間の設定
診療時間として、早朝の高齢者専門診療、日中の小児専門診療、夜間のサラリーマン専用診療時間帯を設定し各患者層の利便性をはかります。
(2)訪問診療の実施
通院できない地域の患者様に対しては自ら出向き訪問診療を定期的に実施します。
(3)治療から予防へ
地域の患者様の病気を治すだけではなく、病気にならないような体を作るための啓蒙活動を積極的に行っていきます。

3.投資計画
何にいくら投資するのかを具体的に記載します。
保証金   400万円
内装工事  2000万円
医療機器  1500万円
器具備品  100万円
運転資金  1000万円
合 計  5000万円

4.資金調達計画
どうやって資金を調達するのかを記載します。
自己資金  1000万円
銀行借入金 4000万円
合計   5000万円
 
5. 収支計画
5年間の月別予想売り上と予想経費、予想利益を記載します。

6.資金計画 
5年間の入出金とキャッシュフローの予想を記載します。


2017-06-09